ABOUT THE SNOWBOARD SHOP.#4

[ショップのあり方を考える]

Special Thanks_ PILE DRIVER Mr.Maesaka /
Listener_PLAYDESIGN Mr.Kawai
PILE DRIVER Mr.Maesaka × PLAYDESIGN. Mr Kawai

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Q:ボクはパイルドライバー=ヒダタカヤマってイメージがあります。岐阜エリアでは他に無い何か特別なエリアに感じています。それがスタイルに繋がるのかなと・・・マエサカさんにとってスタイルってどんなことだと思いますか?

A:一番感じるのは20年以上前になるけどコロラドにみんなをを連れて行った事かな。それがカルチャーショックを生んで、ビデオに出ているライダー達にとにかくつれていけない。スピードが根本的に違う事。恥ずかしかったなぁ。ちょろちょろとしか滑れなくて鼻くそみたいに感じ、「まずはスピード!」とみんなが感じた頃から変わってきたかな。高山が。それを見ていた子供達みんながついていこう早くなり、またそこから繋がってゆく・・・。大会が一番盛り上がっていた20年ぐらい前の時期も、大会にエントリーしていながら当日パウダーなら誰も来ないみたいな(笑)。今はそれがあたりまえだけど当時は大変だった。ある意味みんなをまとめる事が出来ず、勝手にみんながカッコいい事を考えてやっていく。ローカルビデオも多分一番早くに作ったんじゃなかったかな。地形も影響しているかな。傾斜がきつくて雪質がいい。間隔が狭くて抜術がいる。高山はまだ開拓されていないままの場所でもある。まだ地元の人で純血のまま。飛騨高山は、でじゃばらない・・・ってとこかな。あと、他の事が気にならないのが高山の人かな。「スタイル」という言葉は今、最も使いたくない言葉。ある意味「個性」も嫌いな言葉。ライフスタイルがスタイルってことなら納得出来るかな。スノーボードだけじゃなく、おしゃれも音楽もデートもすべてライフスタイルがイメージ出来る事。スノーボードが出来るけど他がダメみたいな人はあんまりカッコよくないでしょ?
そういう事が「スタイル」なら「スタイル」に繋がっているかもね。

Q:マエサカさんとお話をしているとヒーローっていうキーワードを耳にします。マエサカさんいとってヒーローとは?どのような存在なのですか?

A:月並みだけどライダーで言えばやはりクレイグ・ケリー。実際に会った時のオーラは忘れない。穏やかでやさしくてカッコ良かった。タークインロビンスは一番熱くスノーボードを頑張っていた時代の会えるヒーロー。コロラドまで20人ぐらい連れていって一緒に滑ってもらい、目の前で見るムービースターの衝撃は脳裏に焼きついたね。結局、俺が思うヒーローは、身近な少し年上の面倒見のいい人がローカルヒーロー。中学生は高校生を、高校生は20歳ぐらいの人を、20歳ぐらいの子は近所の兄ちゃんを、そしてそれを見届けていつのがローカルショップで、いわばヒーローを作り出すファクトリーがショップかな。

Q:マエサカさんのショップは日本の中でも古くからあるショップだと思いますが、いままでどのような思いでショップをされていますか?またショップとして嬉しい事とはどんなことでしょうか?

A:とにかくいろんな事を勢いでやってきたかな。だから経営者としてはあまり成功してないんだけど、いつも勘でやってきたかな。最初は洋服のお店のディスプレイから始まっているから、みんなとコンセプトが違うと思う。そして大量に販売してたくさんの売り上げ作って納税納めて会社が大きくなって、お店を広げてお金も回るから勘違いしてしまう。30代はそんな感じ。でも時間が無くて滑りに行けずなんだかおかしい事に・・・。で、気がついたのは、体が一つしか無いって事。このビジネスを少しずつ縮小していく。負けた感じはあってけど、なんだか負け惜しみじゃなく等身大になったかなって。そしてたくさん滑るようになって、お客さんともスキー場で会うようになり気持ちがよくなる。スノーボードを滑る寿命が延びた感じ。イベントもたくさん考えて開催して、お客さんに来てもらい楽しんでもらい還元してきた。物の値段が多少高くてもあそこで買いたいって思ってもらえるようにね。いちいち考えて行動していた訳ではないけど、今、ショップを経営していくのは正直しんどくなってきたかな。一番辛いのは悪気なく相談される事。お店の人きっと凹んでると思うよ。今のビジネススタイルに疑問はある。ただ、お店は継続していきたいから、ある意味変えないとダメなのかな?とも思っている。せっかく25年続いたから。ただ、どこかと同じ店ではないように心がけてはいる。お店を支えてくれたのは今までのお客様。今は結婚してりして自由にお金が使えないけどその人達の子供が今度スケートを買いに来てまたお客さんになり、また新しいカルチャーを作ってくれる。DNAが受け継がれるようなそんな感覚。

Q:マエサカさんは、長年このスノーボードシーンを見て感じている事がいっぱいあると思いますが、最近のスノーボードシーンはどのように感じていますか?

A:スポーツになってしまったかなって感じ。以前のスノーボードは不良のやるものだったけど、みんなが出来るものになった。そして一番感じるのは上手くなってもカルチャーに興味が無い人が多い事。ボードメーカの成り立ちや個性ライダーなどあんまり知らない。でも言う事は一丁前な人が増えたかな。音楽シーンのように心に残らない歌は配信されていくけどアルバムは買わないし持ってない。なんなら歌っている人もあまり知らない。目的はなんなのか、ライフスタイルなのか、スポーツなのかレジャーなのか、でも、底辺が広がらないと始まらないか、何でもいいから始める・・・でいいのかな。本当は。どうしても長くやっていると上から目線になってしまうし、言ってしまう。アルペンもパイプもジブもデモもパウダーも何でもあってのフリースタイル。それがスノーボードって事でいいんじゃねーかなって。最近は思えるようになったかな。

Q:最後に、ボクからしたらマエサカさんは大の大の大先輩です。まだまだマエサカさんが歩んできて軌跡について知らない事ばかりですが、リスペクトしています。最近の世代は、何か目上の人に対してのリスペクトが薄く感じるのですが、マエサカサンはどう感じていますか?

A:感じるのはどの業界もそうなのかも知れないけど、自分の経験から言わせてもらうと、自分もそうだったけど下品は人が増えたかな。俺も多分そうだった。少しでも知っていればその知り合いを利用して物を安く買おうとしたり、仲間の顔をして尊敬していますっていう風で、ただでおいしい思いをしたり・・・。でも、今思うと逆だったなーって。知り合いなら恥をかかせないようにその人のために定価で買うべきだし、お金を払って参加するのが粋だよね。先輩はいつも厳しいし、いつもやさしかった。長く付き合ってやっとで認めてもらい、そしてご飯代は払ってくれる。それは、お金がなければコーヒーだけかも知んないけど絶対払ってくれる。恩返しはそれを後輩に返していく。今度その後輩がその後輩に返していく。俺のヒーロー、例えば松田優作だったらこんな時どうする?って考えたら、下品な選択はしないかなって。でも、今はどこかで馬鹿にされているのかなって、少し気になってしまうよね。