FREERUN 2014.10

大阪・南堀江を拠点とした社員2名の小さなスノーボードウエアブランドがある。
14年続くこのブランドは、バインディングブランドのUNIONとコラボしたり8年デザインを変えないモデルをリリースしていたりする。
流行を追わずとも人々を引き付け続けるブランド、P01(プレイ)の代表の川井さんに話を聞いた
freerun201410

遊びをキーワードに常にプロダクトを発信し続ける

“NO PLAY NO LIFE”これはP01(プレイ)がカタログなどに使っている言葉で、P01をもっとも表した言葉だと思う。「遊びがなければ人生ではない」2001年、Y2K問題や2000年問題、またバブル崩壊後の景気が急速に低下していた時期にP01は誕生した。遊びこそ何より大事だというP01のブランドコンセプトは当時の時代背景が色濃く影響していた。
「1999年、2000年って世の中が荒んどった。酒鬼薔薇事件とか当時ではあり得ないような事件が起こって、真面目に生きてたらあかんかったやんみたいな。そんな時代やった。だから仕事ばっかりじゃなくて、息抜きっていうか遊びの大切さをメッセージとして伝えたかった」
19歳でスノーボードを始め、常にスノーボードにハマり続けてきたが、2005年(30歳)になったあたりからスノーボード熱がより増えていったという。
「身近な人たちがカッコええスノーボードをしていて、その人たちと一緒に滑ることで吸い込まれていった感じ。今までのとちょっと違うスノーボードが垣間みれて、そこからもっと楽しくなった。それからずっとあがり続けている感じですね」
遊びこそスノーボードのいちばん面白いところだという確信がP01の核であり続けていて。しかし、スノーボードウエア作りにおいて高性能生地や超軽量化などコアなウエア作りには興味がないとはっきりと断言。「スノーボードを長いことやっている人はミドルの位置でカッコ良いスノーボードをしている。僕がいうミドルはバックカントリーの奥深いとこに行ってる人ではなく、ゲレンデを滑っている人。経験値の高い彼らのようなスノーボーダーをフォロー出来るお店もウエアも少ない。コアかエントリー層のどちらかに偏りがち。だからこそブランドのバランス感覚が重要になってくる。極論、スノーボードはスウェットを着ても出来ますよね。だから別にスペックを上げる必要はないと思ったんです。ある程度自分たちがカッコ良いって思えるもの。風合いやデザインとか。メッセージ性といったあくまでファンな部分が何より大事だと思っています」
P01は流行を追うことはしない。自分が本当に着たいと思えるものを作ることが基本。売るためのラインを作らない、そのスタイルが可能になった理由はP01の持つマーケットの数が大きく影響している。スノーボードウエア以外にもプロダクトの展開を広げることで、これまでよりも自分たちが作りたいものに集中することが出来るようになった。だからこそ良いと信じるモデルは継続して、ウエアの価値を伝え、価格を下げることなく販売し続ける。それを良いと思って買い続けてくれるファンがいる限り、P01は続いていくだろう。逆に流行り廃りを超越した身の丈に合ったP01のようなブランドこそ、今の時代のシーンに長く影響を与え続けていくブランドだと思う。