SNOWSTYLE vol.246

GOODS 4 SNOWBOARDERS
[スノーボードを楽しむ事から生まれたヒストリー]

Words_Ryuji Kawai

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スノーボードを楽しむ事から生まれたヒストリー

本誌連載コラムで執筆してくれている川井氏が、ディレクター/デザイナーとして展開している「PLAYDESIGN」。この「PLAYDESIGN」は、まさにスノーボード、そしてライフスタイルを楽しむために生まれた。「PLAYDESIGN」は、ブランドというより発信基地のようなもので、クリエイティブ・ブランドとでも言うべきか・・・。川井氏の遊び心溢れるアイデアがギアというカタチになり生み出されている。デザインにしっかりとしたベースがありつつ、臨機応変さも垣間見る。今期最後のこの連載コラムで、川井氏に「PLAYDESIGN」のヒストリーを話してもらおうと思う。

ボクが人生で初めてスノーボーディングをしたのは学生時代。20年前、阪神淡路大震災の明くる日にその日は訪れました。アナログな時代でしたので、今と違いデジタル的な情報が乏しい中、雪山から帰ってきて初めてそのことを知り・・・「そんな時に遊びに行っていたんだな」と、今でもその時の事が甦ります。今となっては良い思い出でというか強く残る思い出ですが。そんな学生時代、ボクは洋服が好きで、古着が流行っていた当時に、アウトドアブランドとストリートファッションのミックスに興味があり、何か自分でも創りたいなと思い、RDESIGN(アールデザイン)というブランド名でメッセージ重視のプリントティーシャツを創り、クラスの仲間や友人に買ってもらっていました。大阪の南船場にある洋服屋さん「ZABOU(ザボウ)」にも、その時に創ったモノを買ってもらっていました。ちなみに、現在でも「ZABOU(ザボウ)」さんと、ボクたちPLAYDESIGNは取引を続けています(笑)。そんな中、学校の授業の一環と卒業旅行を兼ねたパリ旅行で、スノーボードがきっかけで仲良くなったクラスメイトと学校に無断で夜行列車に乗り10時間くらいかけて勝手にシャモニーでスノーボーディング。で、それがばれてしまいました(笑)。そんな 中、お世話になっていたインテリアデザイン会社の社長に「おまえ、ほんまスノーボード好きやな、それやったらスノーボードに関わる仕事をしたらええやん」って、ドメスティックブランドスノーボードウェア「H.I.D(エイチアイディ、昔はハイパーイリュージョンデザインってブランド名)」を展開しているSYSTEMDESIGN(システムデザイン)の古川氏を紹介されたのが、スノーボーディング業界に入るきっかけでした。それからH.I.Dのセールス、企画を経て、2001年の11月に社内でボクが企画したブランド、遊びの大切さをメッセージにしたP01(プレイ)が誕生。洋服のコレクションからスタートし、二回目のコレクションからスノーボードウェアを展開させました。立ち上げてちょうど1年後に、卒業してからも毎シーズン一緒にスノーボードをしていた例の(笑)シャモニーへ行って一緒に罰をくらったクラスメイトがP01のセールスとしてSYSTEMDESIGNに入社してきました(それが現在もパートナーである梅野です)。その2人で2005年1月にPLAYDESIGNを設立して円満独立しました。そこから10年、今も変わらず右腕には彼がいます。スノーボーディングがきっかけで出逢った仲間を大切にしたいっていうのが、PLAYDESIGNの根本の考え方・・・本音・・・いわゆるコンセプトになっていますね。

スノーボーディングに対する考え方・・・洋服に対してもですが、ボクがずっと思っているモノ創りは、肩の力を抜いた遊び的な時間に着たいと思うモノです。ダボダボでもスリムでもない、いたって普通のサイジング。それはボク自身が、時代を変化してもずっと同じ格好をしたいからなんです。同じような大きさのシャツを着て似たようなシルエットのパンツを履いて安心感のある装いをしたいんですね。永遠のカタチみたいな(笑)。あとはみなさんが、それをジャストで着ようが、サイズアップ、サイズダウンして自分の永遠のカタチを見つけて欲しいな!というのがボクたちの提案なんです。スノーボーディングでは、あくまでも理想ですが、なんていうんですかね、パウダーでもアイスバーンでもターンでもジャンプでも、スノーボードと呼ぼうがスノボーと呼ぼうが、日本ブランドであろうが海外ブランドであろうが、日本製であろうが中国製であろうが、そんな上辺なことではなくて、その個々に携われる人たちのカッコ良さやブレないところに興味を持ってくれて、コアでもミーハーでもない、頭でっかちでもなく無知でもないバランスよくライフスタイルを築いている人に、ボクたちPLAYDESIGNの創るモノを選んでもらえたら、それがボクたちPLAYDESIGNの一番の幸せです。そういった人たちに支えられることが、ブランドの歴史を築けることだとボクは想っていますし信じています。あと、人種差別するような人たちには着てほしくないと思います。差別するのは自分にとって目で見て感じる悪影響だなって感じる悪い人だけでいいと思います。基本は平和が一番なんでね!

今年でボクたちPLAYDESIGNは10年目を迎え、ボクたちPLAYDESIGNが育てているP01は11月で15年の歴史になります。ボク自身のスノーボード歴も20年となにかと2015年は節目だと想っています。これからの歴史は、ボクたちの創るモノをひっさげて、本当のドメスティックブランドとしての自負と、ボクたちみたいなブランドに大切なプロショップとの関係性やお互いの向上の再確認をすることと、都会と雪山を繋ぎ続けたいと思います。日本が誇る遊びから生まれるブランドになる事を目指し、ファッションからスノーボード含めヨコノリ的な遊びのシーンに必要なモノを発信しながら、スノーボードをやり続けている人や、年齢を経て時間が出来てスノーボードがまた熱くなった人たちに愛されるようになると共に、下の世代によりよい考え方へ、その方向性を導く事も大切だと思っています。ヨコノリに興味を持ったエントリーユーザーの人たちへ、スノーボードをするための知識だけではなく、着こなしやブランド選び等、初心者だからといってほったらかしではなく、ベーシックを理解したカッコいいモノを身に着けて欲しいと願っています。PLAYDESIGNは、スノーボードを愛し楽しんでいる我々が、スタイルのあるライダーからのフィードバックを加味しながら、ブレないコンセプトでカッコいいものを提案したいと思っています。他にもそういうブランドがもっと増えていけば、PLAYDESIGNが育てているドメスティックブランドP01も含め、自分たちのスタイルを変えずにどんどん歴史を刻んでいけると信じています。デジタルで利便性や効率的なことが求められ、スピードが速い今の時代だからこそ変化することが大事かもしれませんが、ボクたちPLAYDESIGNはそれと同じくらい変わらないってことも大切であり、守るモノだと思っています。